飯島企画業務日誌

ぼくたちは誰も『励ませない』?荒井裕樹

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おはようございます☀️

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(画像の引用先は、画像内に記載されています)
ぼくたちは誰も『励ませない』?荒井裕樹
台風19号は北上し、東京は風は少し強いですが、雲一つない晴天となり、テレビでは続々と日本各地での災害状況が報道されています。被害者の方々には、かける言葉もないほどです。以下、荒井裕樹さんの想いをご紹介します。

「がんばって」「負けないで」「だいじょうぶだよ」
あなたは、どんな言葉に励まされますか?
中途半端に励まされて、むしろイラッとしたり、傷ついたりしたことってありませんか?
「人を励ます言葉」って何だろう……こんなことを考えたのは、東日本大震災のとき。被災された人たちに、どんな言葉をかけたらいいのかがまったくわからなくて、モヤモヤと悩む日々を過ごした。
震災直後は、テレビのコメンテーターも、公共のCMも、いろんな「励まし表現」を探っていたような気がする。被災者を励ましたくて、でも傷つけたくなくて、みんな慎重に言葉を選んでいた。ぼくもいろいろ考えたけど、どれもしっくり来なかった。
堪え忍ぶ被災者に「がんばれ」は相応しくない、もう限界までがんばっているから。「負けるな」というのも変だ、被災に「勝ち負け」は関係ないから。「大丈夫だよ」もおかしい、実際大丈夫ではなかった人たちがたくさんいたから。
そのうち、どこからともなく「ひとりじゃない」というフレーズが出回るようになった。被災者を孤立させず、連帯しようという思いを込めた新しい「励まし表現」だった。でも、これも受け取り方次第では、苦しいのはあなただけじゃない、だからガマンしましょう、という意味になり得てしまう。
多くの人に向けられた言葉は、どうしても編み目が粗くなる。被災者といってもさまざまだから、一つの言葉が全員の心に寄り添えるはずがない。その言葉は今の心情のそぐわないという人がいれば、そのたびに「言葉を探す」ことが必要だ。
もちろん、災害は「言葉」だけで何とかなる問題じゃない。だからといって「言葉は二の次」でいいわけでもない。
でも、不思議なもので、ぼくたちは普段から誰かの言葉に励まされる経験はしている。やっぱり、言葉が人を励ますことは確かにあるのだ。
だから、ぼくは言葉を信じて、「言葉探し」を続けたいと思う。
なにか酷い出来事が起きたとき、「言葉は無力だ」と言われることがある。何を言っても「きれいごと」だと批判される。
文学なんか役に立たないと言われた。つべこべ言わず、ボランティアするなり、支援物資送るなりして、身体を動かすべき、とも言われた。
 ぼく自身、「言葉に関わる仕事」に引け目を感じた。
「言葉」って、「たくさん”ある”言葉」が目立ってしまうけど、「そもそも”ない”言葉」にも目を向けないといけない。「ない言葉」は、その都度、模索していくしかない。
言葉で大切な人を支えなければならない場面は、誰にでも、不意にやってくるのだから。
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