飯島企画業務日誌

『アフリカンプリント』

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おはようございます😉

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『アフリカンプリント』
アートを見れば世界が見える。話題のアーティストの作品を通して、現代世界を読み解く。日本で初の個展を開くナイジェリア系イギリス人アーティストを紹介する。カラフルな作品で、一見すれば「カワイイ!」という声もあがりそうだが、実は「らしさ」を痛烈に批判している。
ナイジェリア系イギリス人アーティストの”インカ・ショニバレ”は美大生の頃、政治問題に注目したコンセプチュアルな作品を制作していた教員から「もっとオーセンティックな(正真正銘の)アフリカのアートを作ったらどうか」と言われる。偏見ともとれるこの言葉をきっかけに、「オーセンティックなアフリカのアート」とは何かを問い始めたショニバレは、アフリカ系の住民が多いロンドンのブリクストンのマーケットで売られていた「アフリカンプリント」に注目する。
鮮やかな色と模様が特徴的なこの布は、アフリカに住む人々が身にまとう服の生地として知られている。しかし実際には、インドネシアのバティック(ろうけつ染めの布)の影響を受け、オランダを中心にヨーロッパで大量生産され、インドネシアでは機械の大量生産は好まれなかった。そこで西アフリカの市場にのりだし20世紀以降に売られるようになった製品であることをショニバレは知る。「アフリカ」の布はアフリカ生まれではなかった。そこには植民地時代を色濃く残す資本のシステムが映し出されていたのである。
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ショニバレは「アフリカンプリント」を美術史の中に紛れ込ませる。例えば優雅なドレス姿の女性がブランコに乗り、スカートをゆらしながら遊ぶ様子を描いたフラゴナールによる有名な絵画《ぶらんこ》(1767)を参照した作品。フラゴナールは、革命前のフランスで隆盛を極めたロココ美術を代表する画家であり、貴族に愛される華やかな作品を制作した。一方ショニバレの作品では、アフリカンプリントのドレスを身につけた頭のないマネキンが、ギロチンによる斬首刑のイメージと結びつけられている。帝国主義時代のヨーロッパの上流階級や政治への皮肉が、ユーモアとともに感じられる。
さらにショニバレはアフリカとヨーロッパ、黒人と白人などのイメージにまとわりつく「らしさ」への疑いを作品の中で提示する。
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また、チャイコフスキーのバレエ作品「白鳥の湖」の中で白(オデット)が善、黒(オディール)が悪という対極を示すのに対して、ショニバレの映像作品《オディールとオデット》では黒人と白人のダンサーが向き合って、互いを鏡に映したかのように全く同じ動きを見せる。二人で一人、互いが実像とその影となる関係性が、独特の緊張感と魅力を放つ。
日本でも、数年前から注目されている アフリカン プリンは最近が人気のようで、入ってくるプリントの種類も増えています。
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