飯島企画業務日誌

『ミラーワールド』2/12

Posted by 

おはようございます😉
『ミラーワールド』2/12
3D5F5C72-A8A0-4D1A-9974-82453A48688E-A9956FB1-0FA7-4CD9-B798-2EB9B6F0E491
ミラーワールドの建設はすでに始まっており、世界中のテック企業の科学者やエンジニアたちが、現実世界に重ねるヴァーチャル世界を建設しようとしのぎを削っている。何より重要なのは、こうして現れつつあるデジタル版ランドスケープが、本物のように感じられることだ──つまり、ランドスケープ設計者が言うところの「placeness(場所らしさ)」がある。Google Mapのストリートビューの画像はただ平面のイメージが連なったファサード(サブシステム)だ。一方ミラーワールドでは、ヴァーチャルな建物は体積をもち、ヴァーチャルな椅子には“椅子らしさ”を感じる。また、ヴァーチャルな街路からは、テクスチャー、段差や凹みも相まって“道らしさ”が伝わってくる。
ミラーワールドという言葉を最初に拡めたのは、イェール大学のコンピューター科学教授デイヴィッド・ガランターだ。ミラーワールドは、単に見た目だけでなく、そのモノがもつコンテクスト(背景)、意味も反映する。ミラーワールドではまるで現実世界と同じように、相互にやりとりし、操作し、経験することができる。
初期段階のミラーワールドは、わたしたちの目には現実世界を覆う高解像度の情報レイヤー(階層)のように映るだろう。すでに面識のある人物の前にヴァーチャルなネームタグが浮いている、といった感じだ。あるいは、右左折すべき曲がり角に青い矢印が表示されていたり、観光名所に便利な注釈がぶら下がっていたりするかもしれない(暗く閉ざされたVRゴーグルと違って、ARグラスはシースルー技術を用いてヴァーチャルな情報を現実世界に重ねる)。
やがて、テキストを検索するように、物理空間を検索できるようになるだろう。例えば、「川沿いにあって日の出が眺められる公園のベンチがある場所を探して」という具合だ。そして、ウェブ上でハイパーリンクされるワードのように、物理的なネットワークにモノをハイパーリンクするようになる。そうなればこれまで考えられなかったような素晴らしい恩恵が得られ、新しいプロダクトが生まれる。
ミラーワールドならではのひねりや驚きもある。リアルとヴァーチャルが混じるその不思議な二重性をもってすれば、現状想像もつかないようなゲームやエンターテインメントを実現可能にするだろう。「ポケモンGO」や「あつまれどうぶつの森」は、ほとんど無限だといえるこのプラットフォームの可能性を探求する際の、ちょっとしたヒントを提示している。こうしたヒントは、取るに足らない初歩的なものである。それはちょうど、インターネットが誕生した直後に、創業間もない初期のAOLを前に、いったいこれで何が起こるのかと稚拙な推測をしていたのと同じだ。
一つひとつの粗削りの要素が、思いもしなかった何十兆もの方法で組み合わさることによって、ミラーワールドの真価が発揮されるだろう。

記事画像https://wired.jp/special/2019/mirrorworld-next-big-platform(雑誌『WIRED』日本版VOL.33より転載)
PAGETOP