飯島企画業務日誌

日本映画『監督・俳優』論 萩原健一:絓秀実

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おはようございます😉

 

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図書倶楽部
日本映画『監督・俳優』論 萩原健一:絓秀実
「令和」という時代がまもなく訪れるという1週間ほど前の2019年3月26日、俳優萩原健一”ショーケン”が逝ってしまった。かつて人気グループ、テンプターズのボーカルとしてアイドルだったショーケンは斎藤耕一監督の映画「約束」(1972年)で鮮烈な演技を見せ、瞬く間に銀幕のスターとなっていった。

ショーケンは「平成」とともに逝ってしまったが、彼の出演リストを見ると、その活躍のほとんどが「昭和」の時代だったことがわかる。
ショーケンは「昭和」のイデオロギーを引きづって、「平成」の時代を生きていたともいえるだろう。
日本映画が今よりも日本的でありながら、確実に世界に影響を与えた時代だった。

この本を読めばそれ以前の彼の役者以上であり、映画人以上であるその姿勢や立場に驚くほどの創作力が伺える。

テレビは別にしても、映画の活動はこの時期、ほとんどない。それでも、ショーケンが日本映画界に残した足跡の大きさを、この本は良く伝えている。

ショーケンが関わった映画監督、それは黒澤明や神代辰巳といった有名な監督だけでなく、共演した俳優や同じ時代を生きた映画人を語っている。
沢田研二に対するライバル意識や松田優作はショーケンが無から造り出した線路に乗ってるだけだと語る。そして、ショーケンの初期の名作といっていい「股旅」を監督した市川崑氏への評価だった。
「俺、大嫌い、市川崑」と、まるでやんちゃ小僧のような言い草でずばり切るのが、ショーケン風なのだろうか。

日本映画の歴史をたどる本は多くある。それは監督視線であったり俳優視点であったり、さまざまだ。
そんな一冊として、ショーケンの時代もあったことを、この本は証明している。

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