飯島企画業務日誌

ボタ子

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おはようございます☀️
≪図書くらぶ通信≫今回のお薦めを紹介します。

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赤松利市63才の新人作家
『鯖』『らんちう』『藻屑蟹』
藻屑蟹は第一回大藪春彦新人賞ーを受賞
そして今回ご紹介したいのは、

4作目となる『ボダ子』です。

(性的描写の内容が出てくる為R18ーと表記させて頂きます。)

 


【粗筋】
主人公、大西浩平を取り巻く社会や家族を彼の青年期から凡そ60才までの経緯を描く。

浩平は仕事に燃え妥協しない
順風満帆に起業し業績も安定してきた
3人目の妻の間に産まれた娘が中学生に成っていた
表題である「ボダ子」の名は、”恵子”で境界性人格障害の名を与えられたのがこの頃

浩平は仕事に集中し過ぎて娘への「ネグレスト」
恵子は、加えて母親(悦子)から必要異常の「ヒステリー」を
幼少時から繰り返されるこれらに精神疾患を積り続けた結果だった。
境界性人格障害は通称ボーダーと言われ、
後に娘が働くボランティア仲間からの愛称(ボダ子)となる。

恵子のリストカットが発覚した頃から浩平の会社の業績が下がり始め破綻した。
後に、東日本大震災が大きなニュースとなり
浩平は飛び付いた、そして土木作業の仕事を得る
復興バブルで多くの人々が各地から出稼ぎ
東日本大震災での復興事業を巡る裏側を描く。

金を絶対正義とし、前事業の伝手をたどりゼネコンに接触する
最大の利益を生む津波避難タワー建設に関わる為に駆け巡るが
これが生地獄への入口とも知らずに
次から次へと堕ちて行く
極限の孤独、屈辱、恐怖に耐えながら
このストレスを薄幸な女の”泰子”に叩き付ける。

「なんとかなる!」が口癖の浩平はこれを呪文のように口ずさむが
娘の恵子が飛んでしまった
そこで浩平は………



赤松利市氏はインタビューで、
「読者の事は考えず、今自分の書きたい物を書いた」と仰っています。
自身を丸裸にし、卑怯で粗暴な己の過去を
悲惨な程に惨めに画くことでこの体験を浄化し償っているのかもしれない。

昔からの本の虫で濫読してきた赤松利市氏
その膨大な知識から次はどんな物語を我々に伝えて頂けるのか楽しみです。

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