飯島企画業務日誌

『偉人伝』

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おはようございます😄

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『偉人伝』
彼は1927年オランダの出版社を経営する父アルバートと母ヨハナのもとに生まれます。絵が好きなおとなしいタイプの少年で、いつもスケッチブックに絵を描いてはそれを大切にしていた。また、父が出版社を経営していたこともあって、さまざまな本に読み親しみます。
中学に入ると、父の書棚にあったレンブラントやゴッホの画集に触れ、鮮烈な色彩や画法に強い衝撃と感銘を受けます。そして父親の出版社の専属デザイナーのもとで、絵の基本を学び、油絵を描くようになり、また音楽にも興味を持ち、特にシャンソンに熱中になり、アコーディオンを手にし、演奏や作曲なども楽しみました。
1945年に第二次世界大戦が終了すると、画家になることを強く志望していた彼は、通っていた高校を辞める決意をしますが、長男である息子を後継者にしたかった父と対立。その後「後継者の研修」をするのであればとの条件付きで、高校を退学します。
退学した彼は、オランダの書店や、イギリス、フランスの出版社に研修に出向き、出版のいろはを学びました。研修の合間には、同じ画家志望の者と出会い、美術館や画廊を精力的にまわり、さまざまなインスピレーションを得ます。
特にパリでは、アンリ・マティスといった現代芸術家たちの作品に、彼がそれまで抱いていた絵画のイメージを大きく覆すほどの強い衝撃とインスピレーションを受けます。そして彼自身もスケッチブックを手に街の様々な風景をスケッチし、油絵にしていきました。
その後、様々なアーティストの画法を研究し、特にアンリ・マティスの単純な輪郭や明解な色で構成されたシンプル、かつ訴求力のある作品を研究し、自らのデザインスタイルを確立させていきました。
1951年、24歳になった彼は婚約し、2年後に結婚。またこの頃から出版社の専属デザイナーとして働くようになり、会社が発行するさまざまな書籍の装丁を任され、メグレ警部シリーズなどミステリー小説を中心に年間100冊もの装丁の仕事をこなします。これらの装丁は、書籍のタイトルさえ分かればいいという、それまでの装丁の概念を覆し、パッと一瞬で引きつけるような、シンプルで斬新なデザインスタイルでした。
彼がオランダ北部の海辺の町で休暇を過ごしたときのこと。海岸付近に野うさぎが走りまわっているのを見た彼は、「そうだ、ウサギの絵本を作ろう」と、まだ小さかった長男にお話を語って聞かせました。
日本では「うさこちゃん」そう、彼の名は「ディック・ブルーナ」『ミッフィー』の産みの親です。
ブルーナ氏が影響を受けた画家と言われているのが、フランス出身の画家アンリ・マチス氏です。
20世紀の画家アンリ・マチスは「色彩の魔術師」と呼ばれ、鮮やかでのびのびとした色使いが特徴。ゴッホの影響を受けているとされ、独特の色彩感からのちのフォービズム/野獣派に通じました。フォービズムとは色の単純化・単色の力強さや画面の簡略化を主義とした画風なので、シンプルを好むブルーナ氏が、マチス氏を尊敬したことは納得できます。6色しか使わないというのも単色を鮮やかに描くマチス氏の影響でしょう。
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