飯島企画業務日誌

『鬼滅の刃』小説版

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おはようございます😉
『鬼滅の刃』小説版
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「鬼滅の刃」シリーズは、集 英社のJUMP j BOOKSから”小説版”も刊行されている。第1弾『鬼滅の刃 しあわせの花』、第2弾『鬼滅の刃 片羽の蝶』の合計で累計116万部を突破した。レーベル史上最速の売れ行きだ。
「人気マンガの小説版なのだから売れて当然だろう」と思う人もいるかもしれない。だが、それは違う。そもそもノベライズが1巻で数十万部も売れるのはまれだ。マンガのノベライズはアニメ化や映画化に合わせて1冊出すだけで、原作マンガが何百万部売れていても小説版の売上は良くて数万部といったものが大半だからだ。
ところが『週刊少年ジャンプ』からのノベライズを中心とするJUMP j BOOKSは違う。小説版第1巻が原作マンガ第1巻の約3~4割の売上を占めるタイトルもある。なぜ売れているのだろうか。

BOOKSは赤い色の背表紙で統一された新書判サイズの単行本だった。
だが『D.Gray-man』のノベライズでは赤背をやめ、カバーは全体が原作マンガと見まがうような装丁にし、書店店頭で並べて売りやすくした。これを機に、JUMP j BOOKSのノベライズは原作準拠の装丁が標準となった。
さらに集英社は小説版の発売日はジャンプコミックスと同じか翌月に設定。書店にはコミックスと小説を並べて2冊置ける面陳台を送り、いっしょに並べた方が売上が良いことを営業が書店に繰り返し繰り返し周知。これによって「j BOOKSはジャンプコミックスの隣に」という新しい“常識”を作っていったのだ。
さらにJUMP j BOOKSはノベライズの「中身」の革新も行った。
「マンガで読める話をただなぞっているだけでわざわざ文字で読む必然性がない」
マンガ担当と小説担当の別々の編集者が連携し、マンガ家のアイデアを最大限生かそうとする取り組みが行われている。
「週刊連載ではこれをやると順位が下がりそうだ」「膨らませると面白いが、脇道のエピソードなので連載のスピード感が落ちてしまう」といった理由でマンガ家がボツにしたネタを、小説担当の編集者がマンガ担当編集者にヒアリングして吸い出し、小説家につなぐ。一度はボツにしたアイデアをもとに打ち合わせを重ね、小説化する手法を確立した。
マンガではボツにはしたが、やりたかったネタが描かれることによってマンガ家のモチベーションも上がる。こうして、カバーの描き下ろしはもちろん、挿絵もラフなものが多いながらもマンガ家本人がすべて手がけるものが大半になった。
小説家には原作愛がある作家を選び、それでも登場キャラクターの口調や行動に違和感があればマンガの担当レベルでチェックする。このように原作マンガ家自身の負担は最小限にしながら、ファンが気にする“公式感”を最大化。マンガのTVアニメ化企画が決まると、ノベライズもスケジュールを組んで放映時には複数冊が書店に並ぶようにして売り伸ばし、金銭面でも原作者に報いる。
記事画像https://president.jp/articles/-/32992?page
画像撮影=菅原雄太

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