飯島企画業務日誌

地域資源の『葉っぱ』に着目

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おはようございます😉

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地域資源の『葉っぱ』に着目
これからますます高齢化が進む日本。社会保障費の増大が深刻な問題となっている。
しかしこの悩ましき問題も見方を変えればおもしろいことがたくさん見えてくる。要は、何でもマイナス視点ではなくプラス思考で考えたらいいのだ。世界で誇れる超高齢社会と言えば、この分野のいわば先進国になる。現に我が町上勝町には、世界各国からの視察が後を絶たない。日本が歩んできたことが自国にも必ずやってくるという危機感を持って見に来ている。ここにもいろいろなチャンスがあるからおもしろい。

徳島県上勝町は、人口が約1700人。町の面積の86%が山林。65歳以上の高齢者の割合が50%と人口の半分をしめ、県下でもっとも高齢化比率が高い町である。高齢化、過疎化が進む典型的な廃村寸前の町のようにも見える。ところが、この町は、お年寄りが元気で活き活きと働いており、「世界中探したってこんな楽しい仕事ないでよ」と笑顔が絶えない。こんな楽しい仕事とは山にある葉っぱや花を200軒の農家が全国の料亭などに出荷し、年間2億5千万円売り上げる町の一大産業になっていることだ。
私は、1979年に上勝町農協(現JA東とくしま上勝支所)に営農指導員として採用された。地域の若者はどんどん町外へ流出していく状況の中、雨が降ると仕事がなく一升瓶をさげて役場や農協に集まり国が悪いと言って「おまえらはわしらに何をしてくれるんな」と愚痴をこぼしていた。自分なりに、「なんとかせなあかん」と思っていた。町おこしや地域の活性化を考えるのではなく、仕事をつくり、まずは女性や高齢者に居場所と出番を与えることが大事だと考えた。
自信と誇りを取り戻すには、この町でなければできない仕事をつくらなくてはいけない。何かないのかと思案していたところ、大阪の料理屋で運命的な出会いを果たした。店にいた女性達が、料理に添えられていた赤いもみじを見て「これかわいい」「持って帰ろう」とはしゃいでいた。その光景を見たときに「これだ!」「そうだ、葉っぱを売ろう」と気づいた。
しかしその結果は散々で、「葉っぱをお金に換えるのは狸や狐のおとぎ話だ」と大笑いされてしまった。
田舎に住んでいる人は、意外に見栄っ張りで頑固である。自分ができないことや恥ずかしいと思うことは、絶対にやらない。
人それぞれのツボを知りその人にあった舞台をつくること。昔からの人間関係や気にしていることや自慢できることなどを個々につかみ、うまく持ち上げていく。プライドが高ければ高いほど自分が舞台に立てると人は、輝いてくる。上勝のひとりひとりを深く観察し強引なやり方ではなく、ツボを見抜いたことが良かったと今でも思う。
日本の高齢者のほとんどが、年金で生活をしている。わずかな年金では、生活するのがやっとで生活保護受給者も年々増えてきている。いろどり農家の多くは、年金受給者だが、年金に加えて年収があり、年間売上高を単純計算すると一軒あたり125万円になる。
一日中何もせずに家でゆっくりと過ごすことや、病院・施設の充実だけが求められている社会ではない。「元気なうちは働いて稼ぐこと。『なんにもせんでええけんじっとしておれ』と言われる事が一番辛い」。これがいろどりのおばあちゃんたちの口癖だが、究極の福祉ではないだろうか。
「どんな人にでも居場所と出番があり役割が必要である」
この言葉は、私がいちばん好きな言葉だ。「役割」をみつけてあげることができれば、みんなキラキラと輝いてくる。

記事画像https://www.projectdesign.jp/201510/pn-tokushima/002488.php

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