飯島企画業務日誌

『ミラーワールド』12/12

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おはようございます😉
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『ミラーワールド』12/12
インターネット黎明期から、デジタル世界は実体をもたないサイバー空間として認識されてきた。さらに、このサイバー空間は物理世界からは隔離された手の触れられない場所であり、実世界とはあまりにかけ離れた存在なので、独自のルールが適用されてもよいという考え方がなされていたのだ。
多くの点で、バーチャルな世界と現実世界は事実平行していて、決して交わることがなかった。バーチャルな世界には、物理的な形から解き放たれた無限の自由があるという感覚があったのだ。摩擦も、重力も、慣性も、そのほかわれわれを縛り付けるあらゆるニュートンの定理からも自由だった。ならばサイバー空間に逃げ込んで、最良の(あるいは最悪の)自分になりたいと思わない人などいるだろうか?
ミラーワールドは、その道筋をひっくり返す。ふたつの異なる領域をそのままにするのではなく、この新しいプラットフォームはそれを融合し、アトム(原子)でできた物質のなかにデジタルのビットを埋め込んでいく。あなたは筋肉を動かし、つま先で蹴るというようなフィジカルな相互作用によって、バーチャルなやりとりをする。あの有名なローマの広場にある噴水についての情報は、そのローマの噴水で見つけられる。180フィートの風力原動機の問題解決は、そのデジタル版ゴースト(デジタルツイン)で行なう。浴室で手にしたタオルは、魔法のケープに変わる。
すべての物体には対応するビット情報が含まれるという事実を、やがてわれわれは当然のことだと思うようになるだろう。それはあたかも、あらゆるアトムにはそのゴーストがあり、あらゆるゴーストにはシェル(外殻)があると認識するようなものだ。
ミラーワールドが発展して何百万の人々に使われるようになるには、少なくとも10年かかるだろう。それが成熟するには、さらに数十年かかるはずだ。だがすでにこの巨大世界の誕生まで充分に近づいているので、それがどんなものになるのか、ある程度予見することができる。
やがて、地球と同じサイズの、現実とヴァーチャルが融合した世界が完成するだろう。それは人類の最も偉大な功績となり、何十億という人々にとって新しいレベェルの富、新しい社会問題、数えきれないほどの新しい機会を生み出すはずだ。この世界を築くための専門家はまだ存在しない。あなたにだって、まだチャンスがあるというわけだ。

記事画像https://wired.jp/special/2019/mirrorworld-next-big-platform(雑誌『WIRED』日本版VOL.33より転載
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