飯島企画業務日誌

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図書倶楽部
『ロシアを決して信じるな』中村逸郎
政治家から庶民までロシア研究の第一人者が肉声を拾って語る最新の現実。北方領土は返すつもりは無い。ロシア人は悪賢く、約束は守らない。長年、研究する者に抱かせたロシアとは一体どんな国なのか。誤作動で発射を免れた”核ミサイル”。日常的になった反体制者への暗殺。世界最悪の飲酒大国。悪魔への奇妙な共感。消えない”プーチン偽者”説。あさましい都市モスクワ。不条理に絶望し、怒り、戸惑い、ときに笑いつつ、このような隣国を知りつくするために、危険な紀行を行い貴重なロシア現代史を語る。
1991年にソビエト連邦の崩壊に至ったが、ソビエト時代の共産党一党独裁制が放棄されて多党制に基づく選挙が行われるようになったが、2003年以降は事実上”プーチン大統領”率いる与党統一ロシアの一党優位政党制になっていてる、謎の国と言える。日本との平和条約も相変わらず結ばれていないし、北方領土も帰ってくる気配はない。ロシアという国の複雑な社会に面倒くささに呆れながらも、その魅力に逆らえない気持ちが、読みとれる。政権批判した人たちが、いつのまにか暗殺されたり行方不明になったりする、というのは面白い話でないし、ロシア人にとってはたまったものじゃない。その一方で、ロシアの人々は、自分の国が「強くて、領土を広げていくこと」を支持してもいる。
ロシアは、予見できない国で、予想だにしなかった不思議なことが突然起きたり、ときには他人の悪意による行いで、生活が歪められたりする。思い通りにいかないことばかりで、他人への期待はいとも簡単に裏切られてしまう。そのため、逆にいえば、人間の倫理や善意を問う文学や哲学思想が多くなる。他国を悪く言うものではない、それぞれの事情があるのだから、とは思うが”共産党支配”から脱け出したはずのロシアは、今度はプーチン大統領のもとで「強いけど、あまり幸せではない国」になっているようにみえるが、この様な不条理の中でのロシア人の過剰な親切さや人間性に著者は惹き付けられているように感じた。何れにせよ”強国”ロシアは”恐国”だった。
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