飯島企画業務日誌

『えげつない!寄生生物』成田聡子

Posted by 

図書倶楽部
2F79904D-886D-47B5-A37A-DD8FE2E51221-5C6AE147-6039-47E7-BC0D-AA02144C737F
『えげつない!寄生生物』成田聡子
この地球上には約870万種類もの生物が生息しているという。生物同士は食ったり食われたり、また住む場所や食糧をめぐって競い合ったりしている。異なる生物同士が一緒に生活することもあり、それを「共生」と言います。
共生には複数のタイプがあり①お互いが得をする相利共生②片方だけが得をする片利共生③そして片方のみが利益を得てもう片方は害を受ける共生もある。この③つめのタイプを「寄生」と言うそうです。
寄生とは、ある生物が他の生物の体表にとりついて、あるいは体内に潜り込んで、栄養を横取りして生きる現象です。寄生をする生物は他の生物に宿ることによってのみ生存可能で、その生物から離れては生きていけません。寄生する生物を「寄生生物」、それを受け入れて害を受ける側を「宿主」と言います。
この寄生という現象は特殊なものと思われがちですが、実は自然界においては非常によくみられる。なにしろ、およそすべての生物が、なんらかの寄生生物の宿主となっています。それどころではなく、1種類の生物にはふつう何種類もの寄生生物が宿っているのです。(寄生生物に寄生する生物すらいる)
種が多いというだけではありません。寄生生物の一生(ライフサイクル)も実に多様。なかには私たちの想像をはるかに超える戦略を持って寄生し、宿主の行動を変化させるものすらいる。そのほんの一部を紹介します。
”ハリガネムシ”の赤ちゃんは水性昆虫に食べられて、お腹の中で休眠状態、水性昆虫は羽化して陸上に飛び立ち、カマキリに食べられる。ハリガネムシはカマキリのお腹の中で栄養を横取りし、何らかのマインドコントロールをかけて、キラキラした水面に近づかせて、水が嫌いなカマキリを水中に飛び込ませる。ハリガネムシは水中に逃げ出し繁殖活動を初め、カマキリは魚に食べられる。
もう1つ、コマユバチはイモムシに80個ほどの卵を生みます、ハチの幼虫たちはイモムシがギリギリ死なない程度までイモムシの体内を食べます。そしてイモムシの体を破って出てきた幼虫はイモムシの下で蛹になる。この時イモムシはまだ死にません。それどころか、蛹を補食しに来る害虫を激しく体を揺すって追い払いハチが成虫になるまで守ってあげるのです。
このような、寄生をした宿主を自分の都合の良いよう操る寄生生物が沢山紹介されています。
寄生という言葉に、「他者から搾取して楽をする、ずる賢い生き方」というイメージを抱く人もいるでしょうね。しかし、寄生生物たちの奇妙な体の形、工夫を凝らした栄養を得るための仕組み、繁殖のための目を見張るような優れた戦略は、数億年の自然選択の果てに彼らがようやく獲得したものです。私たち現生人類がこの地球上に誕生したのは約20万年前です。そんな私たちの時間感覚では、寄生生物の祖先が延々と繰り返した試行錯誤がどれほどのものだったか、その実際のところは想像もつきません。ウイルス(細菌)同様、寄生という生き方は決して安易に選ばれた者では無いのでは?
PAGETOP