飯島企画業務日誌

『絶対に挫折しない日本史』古市憲寿

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おはようございます😉

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図書倶楽部
『絶対に挫折しない日本史』古市憲寿
「サピエンス全史」㊤㊦巻は私も読んで、ここ図書倶楽部内でご紹介した。「サピエンス全史」はミクロ的な流れで歴史を遡った。どちらかと言うと西欧の歴史と言う感覚で世界の進化を年代ごとに語ったものだった。
古市氏は「サピエンス全史」を読み”こんな風に歴史を描く方法があるのかと気付き、似たことを日本史でも出来ないか”と思ったそうだ。「サピエンス全史」のように㊤㊦巻で600ページも有るような本ではない。固有名詞に頼らず、引いた視点で、巨視的に日本の歴史を描いている。
約4万年前に日本列島に訪れた人類は、長い間、おおむね平和な生活を送っていた。しかし約3000年前からコミュニティーが発達し、争いも増えていく。そのような元祖”戦国時代”を経て、3世紀頃には列島を緩やかに支配する王権が生まれてくる。7世紀、彼らは最高権力者を”天皇”と称し、国号を”日本”と定めた。この列島が1つにまとまろうした時代を「古代」と呼ぶ。だが古代は理想が高すぎた。12世紀頃から”天皇”上皇”貴族”武士”寺社”などの複数の権力が併存する「中世」へと時代は移った。中央の力が弱まった事もあり、地方が発達した時期でもある。16世紀の戦国時代を経て、17世紀から再びこの国は緩やかにまとまっていく。そして19世紀後半から西洋から導入した思想や技術を用いて、本格的に国家が1つにまとまる。「近代」と呼ばれる時代だ。大きな戦争には負け、数え切れない犠牲者を出した。しかし列島史上、例を見ない経済成長を遂げ、豊かな人が増えた。
古代から現代に至るまで、この国の形は何度も変わってきた。1000年以上天皇家は存続してきたといえ、7世紀と19世紀と21世紀の”日本”はまるで違う。それでも現代人がそれぞれの”日本”に連続性を見いだせるのは、”歴史”があるからだ。通史としての「日本史」が成立するのは、現代人が”日本”や”日本人”と言う虚構を信じきっているからだ。後に日本領土となる場所に住んでいたというだけで、大昔の人々に親しみを感じるのだろう。権力者たちは古代から歴史に興味を持っていた。文字に残らなかっただけで、各時代を生きた人々も、何らかの形で歴史に感心を抱いただろう。世界中に伝わる神話や伝承の存在が、そのことを裏付けている。歴史とは、証拠と推論の組み合わせによって織り成される叙述である。誰かが何かを残し、それを守る人がいたからこそ歴史は続いてきた。歴史を読み書きするのは、この営みに参加することだろう。
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