飯島企画業務日誌

図書倶楽部『時間は存在しない』カルロ・ロヴェッリ

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『時間は存在しない』カルロ・ロヴェッリ 訳》冨永星
この世界には、物理法則なるものによって表される規則性があり、異なる時間の出来事を結んでいるが、それらは未来と過去で対称だ。つまり、ミクロな記述では、いかなる意味でも過去と未来は違わない。
事物のミクロな状況を観察すると、過去と未来の違いは消えてしまう。たとえばこの世界の未来は、現在の状況によって定まる──ただしその度合いは、過去が決まるのと同じ程度でしかないのだが。よく、原因は結果に先んじるといわれるが、事物の基本的な原理では「原因」と「結果」の区別はつかない。この世界には、物理法則なるものによって表される規則性があり、異なる時間の出来事を結んでいるが、それらは未来と過去で対称だ。つまり、ミクロな記述では、いかなる意味でも過去と未来は違わない。
世界はキャンバスの上に描かれた絵ではなく、キャンバスや層が重ね合わされたもので、重力場もそれらの層の一つなのである。
しなやかで、伸びたり、ほかのものとぶつかったり、押したり引いたりする。物理学の方程式は、すべての場が互いに及ぼし合う影響を記述する。そして時空も、そのような場の一つなのだ。
わたしたちの「現在」は、宇宙全体には広がらない。「現在」は、自分たちを囲む泡のようなものなのだ。
では、その泡にはどのくらいの広がりがあるのだろう。それは、時間を確定する際の精度によって決まる。ナノ秒単位で確定する場合の「現在」の範囲は、数メートル。ミリ秒単位なら、数キロメートル。…そこではみんながある瞬間を共有しているかのように、「現在」について語ることができる。だがそれより遠くには、「現在」はない。
みずからにこの事実をしっかり突きつけてみてはじめてわれわれは、われわれの世界にも一人一人を包みこんでいるシャボン玉があることを認識する。…主体から独立した空間というものはけっしてない。それにもかかわらず、すべてを包括する世界空間というフィクションにこだわるとすれば、それはただこの言い古された 譬え話を使ったほうが互いに話が通じやすいからにほかならない。
そして、自分達が時間であることを悟る。記憶と期待、時には苦悩するが、結局は途方もない贈り物なのだ。
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